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執筆者の写真山浦 泰明

抜歯と言われたらどうする?抜歯のデメリットと歯を残すポイントを解説

更新日:9月29日

「虫歯が進行しすぎているので、抜歯をしましょう」


「歯の根元に感染や膿瘍が発生しているので、抜歯が良いかもしれません」


こうした言葉を歯医者さんから聞いて、驚きと不安を感じた方も多いのではないでしょうか。


実際、抜歯が本当に必要なのか、他に選択肢はないのか悩む方は多いです。


この記事では、抜歯が必要とされる主な理由、抜歯を行うことのメリット・デメリット、歯を残すための方法について現役の歯科医師が詳しく解説していきます。


抜歯が必要とされる主な理由

歯医者の施術台

抜歯が勧められる場合、どのような状況が考えられるのでしょうか。


歯科治療において抜歯は最終的な手段とされることが多いですが、その理由はさまざまです。


以下に抜歯が必要となる主なケースをご紹介します。


重度の虫歯(う蝕)

歯の内部の神経や歯根まで進行した虫歯は、治療が不可能となることがあり、その場合抜歯が必要です。


重度の歯周病

歯周病が進行すると、歯を支える骨や組織が損傷し、歯がぐらつくようになり、歯が機能を失い、最終的には抜歯が避けられなくなります。


早期発見と治療が鍵となりますが、進行が進んでいる場合は抜歯が選択肢となることがあります。


歯の根の感染(根尖病変)

歯の根の周囲に感染が広がり、一般的な治療法では改善できない場合、抜歯が必要になることがあります。


歯の根が割れている

根管治療を受けた歯は脆くなりやすく、歯根が割れてしまうことがあります。


このような場合、修復が困難であり、抜歯が必要となります。


特に、根が割れていると感染が進行しやすく、周囲歯周組織に悪影響を及ぼすリスクがあります。


歯の破損や外傷

事故や衝撃によって歯が大きく損傷し、修復不可能な場合、抜歯が必要です。


親知らず(智歯)の問題

親知らずが正しく生えず、周囲の歯に悪影響を与えたり、歯茎や顎に炎症を引き起こす場合、抜歯が推奨されることがあります。


矯正治療のため

歯並びや咬合を整えるために、スペースを確保する目的で一部の歯を抜くことがあります。


これらの理由に基づいて、歯科医が患者の状態を評価し、抜歯の必要性を判断します。


後悔する?抜歯で起こるリスクについて

歯科医師の治療の様子

抜歯には多くのリスクがあります。


以下に挙げるようなリスクを理解することが重要です。


歯並びに影響がある

抜歯によって生じたスペースに隣接する歯が徐々に移動することで、歯並びが乱れることがあります。


これが、審美的な問題だけでなく、噛み合わせにも悪影響を及ぼすことがあります。


噛み合わせが悪くなる

歯を抜くことで、上下の噛み合わせがズレることがあります。


噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節症や筋肉の緊張、頭痛などが引き起こされることがあります。


特に、奥歯を失った場合は咀嚼力が低下し、咬合機能に悪影響を与えることがあります。


他の歯の負担が大きくなる

抜歯によって失われた歯の代わりに、残っている歯が咬合力を負担することになり、残された歯に強い力がかかります。


このことが、残された歯や歯周組織に過剰な負担を与え、歯の摩耗や破折、歯周病の進行を促す原因となることがあります。


噛む力(咀嚼能力)が低下する

歯が少なくなると、噛む際の力(咀嚼能力)が低下します。


特に、奥歯が抜けた場合は食物をしっかりと咀嚼できなくなり、消化器系への負担が増える可能性があります。


また、柔らかい食べ物ばかり食べる傾向が強くなり、食生活が偏ることもあります。


他の歯の移動(挺出)

歯が抜けると、対合する歯(反対側の歯)が抜けたスペースに向かって移動することがあります。


この現象は「挺出(ていしゅつ)」と呼ばれ、これが進むと歯の位置が不適切になり、噛み合わせが悪くなります。


また、挺出した歯が抜けたスペースに対して過度に移動することで、歯根の露出による知覚過敏や虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。


食事の楽しみが減る

噛む力が弱くなったり、食べにくくなることで、食事の楽しみが減少することがあります。


硬い食べ物や噛みごたえのある食材を避けるようになるため、栄養バランスにも悪影響を与えることがあります。


食事が楽しめなくなることで、食欲が低下し、体重減少や栄養不足につながることがあります。


発音がしにくくなる

特に前歯を失った場合、発音に影響を与えることがあります。


特定の音、例えば「サ行」や「タ行」などの発音が難しくなり、会話に不便を感じることがあります。


発音の不明瞭さがコミュニケーションに支障をきたすことがあり、特に対人関係においてストレスの要因となることがあります。


心理的影響

前歯など目立つ場所で歯が抜けた場合、見た目の変化が気になり、笑うことや人前で話すことを避けるようになるなど、心理的に影響を受けることがあります。


これがストレスや自信喪失につながる場合もあります。


口元を隠すような行動が習慣化し、社会的な活動に消極的になることがあります。


抜歯の費用はいくらかかる?

豚の貯金箱

歯の抜歯にかかる費用は、抜歯処置の内容や保険の適用範囲によって異なります。


当院では抜歯処置は保険の範囲で行っていますが、以下に一般的な費用の目安をご紹介します。


保険適用の場合

ほぼ全ての抜歯が保険で適用されます。


保険適応で自己負担金はおおむね1,000円~3,000円程となります。


ただし、親知らず(智歯)の抜歯の場合、難易度やよって費用が変わることがありますので、事前に歯科医師にご相談ください。


保険外治療や特殊なケース

抜いた後にインプラント治療予定の抜歯の場合、抜いた場所の骨を再生させインプラント治療に有効になるような治療をあわせて行う場合があります。


この場合、保険適用外となることがあり、その場合の費用は別途発生します。


このような場合は、事前にしっかりと説明を受け、納得した上で治療を進めることが大切です。


抜歯をせずに歯を残すためにはどうすればいい?

悩んでいる男性

定期健診(メインテナンス)を受ける

定期的な検診(メインテナンス)を受けることで、虫歯や歯周病などの予防ができます。


また、病気になった場合でも早期発見できるため抜歯になる前に治療することができるので歯の寿命を延ばすことができます。


治療が必要となった場合、最良の治療を選ぶ

歯周病治療や虫歯治療、そして歯の根の治療(根管治療)が必要となった場合、治療方法の選択によって、その歯の予後と寿命が大きく変わることをご存じでしょうか?


最良の治療法を選ぶためには、「保険診療」と「自由診療」による治療方法の違いを理解することが重要です。


それぞれの治療方法について、以下に簡単にご説明します。


1.歯周病治療


歯周病治療の保険診療

歯周病治療において保険診療は、基本的なスケーリングやルートプレーニングが中心です。


これは歯(歯根面)に付着したプラークや歯石を取り除く治療法ですが、深い歯周ポケットがある場合、そのプラークや歯石を完全に取り除くことができないことが多く、治療に限界があることが多くあります。


歯周病治療の自由診療

自由診療では、より高度な治療が可能です。当院では手術用顕微鏡(マイクロスコープ)下で施術することにより、プラークや歯石を確実に除去することでほとんどのケースで歯周病が治癒し、良い予後を得られることが多いです。


また、エムドゲイン(エナメルマトリックスプロテイン)を用いた再生療法などもあり、これらの治療は、歯周組織の再生を促進し、歯を長持ちさせる効果が期待できます。





2.虫歯治療


虫歯治療の保険診療

保険診療の範囲では、一般的にレジン(樹脂)を使った詰め物、または金属を使った詰め物や被せ物による治療が行われます。


これらは基本的な機能を回復しますが、耐久性が低く修復された歯の寿命が短くなる傾向があります。


また適合が悪く歯周病や新たな虫歯を誘発してしまうことも多く、さらに金属アレルギーの問題、審美性の問題もあります。


虫歯治療の自由診療

自由診療では、セラミックやジルコニアなど、歯のエナメル質に近い硬さの材料を使用した詰め物や被せ物で治療します。


それらを高度な接着技術で接着させることにより修復された歯の強度を増すことができ、優れた耐久性を実現し、長期にわたって歯を守り機能させることができます。


また適合精度が高く歯周病や新たな虫歯の原因になることも無く、生体親和性が高いためアレルギー反応も起こることも無く、審美的に仕上げることができます。



3.歯の根の治療(根管治療)


根管治療の保険診療

保険診療の根管治療では、保険制度の中の限られた手法と材料で行い、見えない根管内を手探りで盲目的な治療を行います。


細部にわたる治療を行うことができず、治療の成功率はとても低く、治療に限界があります。(根管治療において非常に重要であるラバーダム防湿すら保険では使用できないのが現実です)


そのためこの保険治療による根管治療から抜歯につながることが非常に多いです。


根管治療の自由診療

自由診療では、最善の治療方法と材料にて治療を行うことができます。


最先端の治療方法と材料、そして手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いることで高度で精密な根管治療が可能です。


手術用顕微鏡を使用することで細部まで見逃すことなく治療が可能となり、再感染のリスクを大幅に減らすことができ非常に高い成功率を得られます。


歯周病治療や虫歯治療、歯の根の治療(根管治療)が必要になった場合、治療方法によってその歯の予後と寿命が大きく変わります。


「保険診療」と「自由診療による最良の治療方法」の説明をしっかり聞き、治療法を選択することが大切です。



他院で抜歯を勧められたらご相談ください

一番は予防、そして治療が必要になった場合に最初の治療でしっかりと治療することです。


他の歯科医院で抜歯が必要と診断された場合でも、当院ではその歯を保存できる可能性が多くあります。


実際に何件もの歯科医院で抜歯と診断された歯が、当院で保存可能と診断され治療後5年10年と普通に機能しているケースも珍しくありません。


自由診療における高度な治療法を使用することで、抜歯を避けることができる場合が多くあります。


当院ではセカンドオピニオンも受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

​院名

院長

住所

〒400-0031山梨県甲府市丸の内二丁目33-8

電話番号

055-222-2272


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